自然と文化が息づく場所づくり —— 高野山での地域に開いた拠点計画です。
高野山の寺内町に建つテラスのあるカフェとお土産ショップです
高野山の文化を“食と学び”でつなぐ、地域に開いた拠点づくり
高野山詣の参拝客がひと息つきながら、地域の食や文化を体感できる建物の計画です。
高野山は、寺内町ならではの独自の文化と景観が色濃く残る場所です。
クライントはこの地域の魅力を次世代へつなぐことを大切に、「食や学びを通じて文化を伝えたい」という想いをプロジェクトの中心に据え計画を進めてきました。
敷地からは杉林が見渡せ、高野槙の生垣がつくる凜とした環境が広がります。ここで地元野菜やお香、木工品など、食文化や工芸にじっくり触れられるようにすることで、訪れる方が「新しい形の高野山詣」を体験できる場所をめざしています。


参道の町並みになじむ焼杉の外壁とヒノキの柱。
1階はお土産ショップ、軽食のテイクアウトカウンター、文化体験スペース。
2階は屋外テラスのあるカフェレストランで構成している。
厳しい冬に配慮した配置計画と、参道に呼応する佇まい
標高850mの地にあるため、冬季はとても厳しい環境になります。
そこで建物は東西方向に配置し、南北に光を取り込める開口部を確保しました。方杖で支えた大きな入母屋屋根が特徴で、深さ3.6mの軒下テラスをつくり出しています。
テラスには回廊のように庇を巡らせ、やわらかな木陰を形成。ファサードを細かく分節することで、参道の落ち着いた町並みとも自然に呼応するデザインとしています。

道路側のエントランス。

駐車場から庭、デッキテラスを経て店内へ続きます。

視線の先には外の木々が感じられるように
店内では高野山にちなんだ商品を見つつ、ふと目を向けた先には常に周囲の自然が感じられるよう、開口部の配置を計画しました。
建物の中にいながらも、差し込む日光や揺れる木陰、冬にはしんと静かな雪景色まで——季節ごとの表情が自然と視界に入り、ゆったりとした時間を過ごしていただける空間を目指しました。


地元カフェと名産品、文化体験が交わる“地域のハブ”へ
建物は南北で穏やかに使い分けています。
南北の一方は室内とし、地元食材を使ったカフェや名産品ショップを配置。
もう一方は半屋外のテラス空間で、マルシェや文化体験の場として活用できるよう計画しました。
観光で訪れる方だけでなく、地域の方々にも気軽に立ち寄っていただける、文化をゆるやかにつなぐハブ空間をめざしています。



ひのきの香りのする文化体験スペース。
記憶に残る“旅の体験”を持ち帰ってもらうために
ここでの飲食や買い物だけではなく、五感を使って地域文化に触れた体験そのものが、訪れた方の心に残る「高野山の記憶」となることを願っています。

杉林や周囲の緑に囲まれた2階カフェ。

高野槙並木が見える。観音画家による作品「あまねく照らす」







