Gertrud~和洋館の改修~

2017年/ 京都市 戸建リノベーション

築90年ほどになる、洋瓦に、ボウウィンドウなど洋風のしつらえが特徴的なの住宅の改修です。

建築概要

種類/ 木造2階建ての改修
スケルトンリフォーム
減築、水廻りの増築
延床面積/ 135m²
構造/木造
施工/ 株式会社津田工務店
写真/ 梅田彩華

住宅街の一角に突如として現れた、緑に覆われた古い洋館。

築90年以上経つ木造の住宅は、これまでに幾度かの増改築を繰り返された跡があり、不具合も多々見られ老朽化が著しい状態でした。
そんなある日迷いこむように施主がここを訪れ、その古い洋館の佇まいに惚れ込み建物の再生に取り込むことになりました。

古いものの良さをそのままに、構造の補強を加えながら新しい生活空間を造っていく土台として改修を行いました。
壁や柱、梁はできるだけ年月の経ったそのままの状態で残しています。最初はつぎはぎに見える新たに加えた素地の材料もいずれ馴染むでしょう。

1階は彫金作業の小さなアトリエや、展示にも使えるギャラリー、ダイニングキッチンを兼ねたサロンに読書室などの創作活動のための空間です。

玄関には施主さんが探し出した、内開きのアンティークの木製扉を取り付けました。
脇の小部屋(図書室)へ続く開口には、2階で使われていた簾戸を転用しています。

 

 

ダイニング横にあるアンティーク扉を開けると、増築部分である水回りがあります。
厚みのあるシャワーカーテンで仕切れる、ホテルタイプのワンルーム空間です。

2階は寝室・ウォークインクローゼット、リビング、茶室などプライベートな空間を配置しています。
窓には4倍幅分ある薄手のレースカーテンを一重でつけてもらいました。ドレープの位置を調整して透け感が調整できます。

寝室の壁、天井はほぼ既存のままで補修のみ行なっています。
特徴的な天井デザインと合う重厚なベルベットのカーテンを選んでいます。
細い真鍮のカーテンレール共に「fabricscape」さんにご協力いただきました。

施主さんが初めてこの敷地に訪れた際、ヘルマン・ヘッセ「春の嵐」のゲルトルートの家のイメージを思い起こさせたとの会話から、建物の名前としています。

この建築ががさらに長い時間を刻むことを願っています。

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